6)うつは「骨折」ではない(すごろく図⑬~⑰)

  •  「こころの病気」であるうつ病の回復は、「からだの病気」とは著しく異なる。
    骨折を例にとって、考えてみよう。

 

  • 骨折の場合は、骨細胞が再生して再接合すれば完治する。以前と同じく「そのまんま元通り」の自分に復帰して仕事を再開していることだろう。即ち原状回復である。
     
  • だがうつは違う。心の中で何かが変化して、それがきっかけで回復する。

  • だから回復後の自分は、以前の自分とは全く同じではない。かといって全く別人でもない。
  • 「『以前と同じ自分』と『内心で何かが変わった自分』が、合わさった自分」になる。
  • ではその「内心で何かが変わる」とは、いったいどういうことなのだろうか。
  • 「自分は何が原因でうつを発症したのだろうか」。その根本的な原因が自己認識できれば、自らの内心が変わる。そしてその後の行動も変わる。

  • それが本人にとって新しい生活を生み出し、うつ病を克服する原動力となるのである。 
  • この点、うつからの回復にとっては、すごろく図で言うところの「⑬自己認識」が決定的に重要な段階となる。
     
  • これこそが「うつは薬じゃ治らない」と書いた、第二の意味である。