6)最小限度の制約①(自律支出:衣食住)

「最小限度」の衣食住

  • 先ほどは最小限度の要素として、営養源の獲得を挙げた。だが皆さんご承知の通り、現実的にはそれだけではない。
    営養源以外の要素も必要だ。つまり衣食住の三要素が必要と言うことになる。
  • 当人の物欲を幾らゼロにしたところで、この衣食住の三要素はゼロにはならない。今ここで仮に、これを「最小限度」と呼ぼう。
  • 既に見た通り、自給自足は不可能だ。従ってこの最小限度の衣食住の確保にも、最小限度の労働量が必要となる。
    グラフ化すれば上図の通りだ。

 

「最小限度」の労働

  • 水と食糧を口に入れなければ生命が維持できないし、公園とか橋の下でたとえ一時の雨露がしのげても、それらは誰かの居住空間として常時開放されているわけではない。
    またいくら手繕いを重ねていても、着た切り雀のままでは衣服はやがて損耗して消滅する。洗濯もしなければ衛生状態が維持できないし、かといって丸裸のままでもいられない。気候条件によっては、健康と生命に危険を生じることもありうるからだ。
  • 即ち、本人が幾ら意識の上で物欲を滅却させたところで、生物学的な衣食住の必要性は消滅させられない。
    それが上図左のw3である。その確保のためには最小限度の現金収入r3が必要となり、従って上図右のh3の労働時間が必要となる。
  • まあ外部環境から余程無条件のオファーがあれば、これらの一部若しくは全部が不要になる可能性は有る。ただし、それは周囲の条件と環境次第だ。たとえ全額ゼロになる場合、つまり労働の必要性が消滅する場合があったとしても、それは周囲からのオファーがあってのことだ。やはり概念としては、この「最小限度」の認識は必要なのだ。