第1章 うつ病:情報の氾濫

1)あふれる情報

  • うつ病に関する問題点は、入手できる情報の量が少ないことではない。むしろ大量の情報が溢れていることである。

 

  • この図は、著者が所有している新聞や雑誌の切り抜きや書籍の一部を示したものだ(引用出典は末尾ご参照)。

  • 真ん中のカラー部分は、持っている書籍と雑誌の一部を並べて撮影したものだ。その両脇のモノクロ部分は、新聞や雑誌の記事の切り抜きのスキャン画像である。

  • この結果、上図では合計20種類の資料が写っている。だが図を作成した時点で実際に持っていた資料はもっと多いし、この後も増えている。
  • だからといって別段これで多いとは言えない。人によってはもっとたくさんの資料をお持ちのことと思う。
  • なぜなら、療養中の本人は回復の手がかりを求めて必死に情報収集するからだ。これは体験者ならお心当たりがあるものと思う。
  • 日々の身体症状と闘いながらのことなので、情報収集に取り組むこと自体が消耗を強いられる作業であり、疲労困憊してしまう。

  • この図でお分かりのように、ビジネス雑誌や週刊誌ではしばしば特集記事が載るし、新聞の健康情報欄にはメンタルヘルスに関する連載記事があったりする。オンライン書店で検索すれば、膨大な数の書籍タイトルがヒットする。
  • つまり、ちょっと気を付ければうつ病に関する情報の入手は容易いということなのだ。

  • では、これだけの情報があるのだから予防も治療も万事めでたくすすむかというと、そうではない。
  • なぜか。次頁以降で、その理由を説明する。