8)最小限度の制約②(他律支出(1):租税公課等)

支出の決め方使い方

  • さて前記の通り、現代日本で生活するためには、衣食住を賄うための最小限度の現金収入が必要だと考えた。そしてその現金収入を得るためには最小限度の労働も必要であると。上図で言えば、その金額は左グラフのr3であり労働時間は同じくw3である。
  • 既に書いたように、衣食住は自分の物欲と生理学的要求によるものだ。自分の物欲は自分で制御できるし、生理学的要求だって結局自分の身体が求めているものだ。そのための支出は自分が消費する。
    つまり自分一人に関わる支出である訳だ。「自律的支出」と呼んだ所以である。

 

 

他律的支出とは

  • だがここで最小限度の現金収入が必要となる要因は、衣食住だけではない。その他にもあるのだ。それは何か。
  • ここで先ず挙げたいのは、租税公課や社会c料などである。これらは法律や税制によって決まっている。自分一人で決められる訳ではない。おまけにそこでの支出は自分一人の為ではなく、社会的に使われる。つまり他人の為にも使われる。
  • そこで、ここではこれを他律支出と呼ぶことにしよう。
    この支出の為には現金が必要である。そしてその現金を得るためには、やはり働かなくてはならない。
    上図で言えば、必要な金額は右グラフの通りr3からr4へ上昇する。このr3とr4との差分が租税公課や社会保険料などの支払いの為に必要な金額である。
    この上昇に対応して、必要な労働時間は右グラフの通りh3からh4へ増加する。
  • ここで注意が必要なのは、必要労働時間が増えたからと言って、本人の物欲が増えた訳ではないことである。
    つまりこれは、本人の物欲如何に関わらず必要な支出なのだ。「他律的支出」と呼ぶ所以である。

 

概念としての認識

  • 因みにこの他律支出は、社会福祉制度等によって補助や減免の可能性は有る。その場合は、一部だけではなく全額負担不要になる場合もあるかもしれない。
    ただしたとえそうなったとしても、補助も減免も外部の環境と条件次第だ。どのみち個人の判断で左右できない存在だからである。
    従ってこの「他律的支出」は、概念としては認識しておく必要があるのだ。
  • なお、租税公課や社会保険料に関する補助や減免の可能性とその具体的な内容は、窓口となる最寄りの自治体へそれぞれご確認戴きたい。