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第2部の末尾では、「うつ病すごろく図」は謂わばガイドブックかナビマップのようなものだと述べた。
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だがこれには少々注意が必要だ。
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ご承知の通り、地図もガイドブックも単に情報を提示するだけである。その情報に基づいて、どこへ行くのかは読み手の判断に任されている。
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従って、たとえ情報が正確に提示さていても、読み手の判断が間違ってしまっては問題となる。
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喩えてみれば、こうだ。
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いくら精密な登山地図を携行していても、無茶なコースを取れば事故にあう。
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いくら最新の海図に基づいて航海していたとしても、目的地を間違えていては仕方がない。間違った港に寄港し、間違った埠頭から上陸してしまう。何度でも航海のやり直しになり、いつまで経っても船旅は終わらない。
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うつを無事に脱け出すためにも、同じことが言えるだろう。自分にとっては、一体どこが終着点になるのか。
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たとえすごろく図に順路の分岐がいくら沢山示されていたとしても、自分にとって正しい分岐を選択しなければ、終着点には辿り着けない。つまりすごろくから上がれない。
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その選択を誤らないためには、自分の目的地を正確に認識していなければならない。
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もしそうでなければ、何度でもすごろくのやり直しになるかもしれないのだ。
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第3部では所謂「新型うつ」を例にとって、この問題を検討する。
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ここで言う「目指すべき目的地」のことを、先のマンガでは「こころの中の国」と喩えた。その理由も以下順次説明する。