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前記では、新型うつとは「ムラ社会」とのカルチャーギャップが齎す無限の疲労感が原因だと書いた。
ではその解消のためには、いったいどうしたらよいのだろうか。
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ワカスタン人にとっては「ムラ社会」は実にしぶとくしつこく、近い将来に多文化共存の容認へ方向転換する可能性は少ない。
だとするとワカスタン人としては、当面この「ムラ社会」に何らかの対処をする必要がある。どのようにしたら良いのか。
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「ムラ社会」からの同調圧力を上手くかわしつつ、しかも自己の存在を見失わないような方法は可能なのか。
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次の図は、当面仮に可能と考えられる選択肢を、一覧表に整理して図示したものである。
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もちろんこの表に示した選択肢が全てではない。
「人は十人十色」なのだから、この図以外の選択肢も判断も対応もあり得る。
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誤解の無いようにお断りしておくと、ここでは「サラリーマンなどと言う職業は辞めてしまいなさい」とか「サラリーマンを辞めないと、うつは治らない」とか言っているのではない。
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だが自分の人生は自分で決めなければならない。
自分には何が出来て、何が出来ないのか。何を目指して、何を得たいのか。
その為のリスクはどこまで想定できるのか、どうしても譲れないものは何か。
従って、取捨選択すべき選択肢とその「目的地」はどれか。
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それを考えた結果が前記の図表だ。
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だがここで様々な内容を書いたからと言って、それぞれを肯定も否定もしているわけではない。況や推奨もしているわけでもない。
この表に図示した選択肢や「目的地」が全てではないのだし、ご自分の人生なのだから、どれが正しいのか、また他の可能性は無いのかどうか、それはご自分で決めて戴きたい。
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ただ判断する時点で思い当たる選択肢や「目的地」とその問題点は、全て洗い出してから取捨選択しなければならないことだろう。
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もちろん著者としても「要領」だの「村八分」だの「表裏の使い分け」だのと書くのは本意ではない。
そんなことを書いたからと言って、それらを肯定しているわけでも推奨しているわけでもない。況や助長する意図など有る訳がない。
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想定される内容は全て書き出しておかないと取捨選択の判断材料にはならないから、書かざるを得なかっただけである。この点誤解の無いよう、念の為予めお断りしておく。
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従ってここでの内容は図表を含め、あくまでこのような意味での例示と受け取って戴きたい。
選択肢(ア)から(エ)の説明
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ではここで、図中の選択肢(ア)から(エ)までを簡単に説明しよう。
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因みに、これらの選択肢で一番「世間」つまり「ムラ社会」からの評判がいいのは、どれか。
もちろん(エ)だろう。
では一番悪いのはどれか。それは(ア)である。
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つまり図中の選択肢は、世間の評判とは逆の順で並んでいる。
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せっかくなので、ここでは世間の評判順に従って、(エ)から(ア)の方向に辿って逆順に説明してみよう。
選択肢(エ)
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この選択肢自体、ワカスタン人としてはあまり有り得るとは思えないが、中にはこんな方もいらっしゃるかもしれない。
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例えば
「『ムラ社会』の『同調圧力』は鬱陶しいが、『赤信号、みんなで渡ればこわくない』というところだけには、相乗りさせてもらおう」
と考える方だ。
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「ムラ社会」に全面的に同調はしないが、一部に限定して同調する選択肢だ。
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だがそのためには、「同調圧力」の鬱陶しさには今後も耐えていかなければならない。
ワカスタン人としては、うつ再発の原因を最も大きく背負ったままの選択肢と言えるだろう。
選択肢(ウ)
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これは「同調圧力」に対しては内心断固拒絶するが、その内心は周囲には顕さずに「ムラ社会」に居残る選択肢である。
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だがその拒絶が現実に奏功するのかどうかは、周囲の環境次第だ。
上司も同僚も自分自身も、異動によって配置が換わる。組織改正や事業売却などによって突如環境が一変することもあるだろう。
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その度に、それまでの成果がご破算になって、全て一からやり直しになる可能性もある。
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なお、これらの選択肢(ウ)と(エ)の内部には、更に具体的な細かい方法①②③がある。次の図で、赤色の破線で囲んだ①②③に示した通りだ。
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因みに選択肢(ウ)では自分の内心は表に顕さないのだから、周囲からの見かけは選択肢(エ)と同じである。
従って①②③の方法は、選択肢(ウ)も(エ)も共通である。
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まず、自分が裏表を使い分けるのも辞さないし構わないという方は、①の「要領」で対処することが可能になる。
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だが「裏表を使い分けるなんてことは、自分には出来ない」と仰る方は、②で示したような条件交渉を都度重ねることになる。
もちろんいっぺんに実現を図ろうとしては周囲と衝突するだけだ。
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それでは元も子もなくなるから、周囲の反応と状況を見ながら少しまた少しと、自己主張を小出しにして実現を図るのだ。
そうやって、その小出しの成果を謂わば既成事実として自分の周囲に積み上げていく。
それから、その既成事実を理由に同調圧力からの免除を試みる。
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実際には、これら①②の方法を組み合わせた③の方法で対処することになるだろう。
その組み合わせも、周囲の反応と状況を見ながら臨機応変に変えていくわけだ。
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だが「臨機応変」と言えば聞こえはよいが、所詮その成否は環境次第だ。つまり他人任せである。
だからそれは環境変化によってご破算になる可能性もある。
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またそもそも定年までの自分のサラリーマン人生で、全てが実現できる保証もない。定年まで努力を続けたとしても、結局全部徒労に終わる可能性もある。
選択肢(イ)
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前記の選択肢(ウ)や(エ)に対して「そんな他人任せの方法は、あてにならない。自分は自分なのだ」と仰る方は、この選択肢(イ)である。
その代り「ムラ社会」内部で優遇される可能性は少ないことだろう。
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もちろんこの選択肢が可能なのは、どのみち仕事のあてがいぶちは回ってくるし、その仕事さえこなしていれば辞めなくても済む、という職場の場合だけである。
選択肢(ア)
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最後の選択肢がこれである。
「自分の価値観を一貫できるのかどうかが、自分の人生にとっては最重要課題だ。それはもうゼニカネの問題では無い」
という選択肢である。
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自分の価値観と引き換えにそれまでの生計手段を捨てるか、少なくとも収入に何らかの変動を覚悟する選択肢である。当然ながら生計手段か生活設計の再構築が必要となる。
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だが、その再構築の成否は事前にはわからない。当然だ。
もし成功すると事前に分かっていたら何の問題もない。誰もが最初からこの選択肢を選んでいるはずだ。